ドイツ企業、生産拠点として日本市場に注目
- ドイツ企業にとって、生産拠点として日本の戦略的重要性が高まっている
- ドイツ企業はアジア向け輸出拠点として日本をますます活用している
- 日本の生産コストはドイツの水準を大幅に下回る
【調査概要】
調査名称:在日ドイツ企業調査2025「日本におけるドイツ系製造業」
調査期間:2025年5月20日~6月6日
調査方法:オンラインによるアンケート形式
調査内容:在日ドイツ系製造業の事業実態や見通しを把握するために実施
調査企業数:日本で製造・組立を行う在日ドイツ企業とグループ会社69社(把握している全体数は合計84社)
有効回答数:34社(49%)
【調査結果】
2025年9月18日|東京 ― ますます多くのドイツ企業が、日本を単なる販売市場ではなく、戦略的な生産拠点としてみています。これは、在日ドイツ商工会議所(略称:AHK Japan)が日本に生産拠点または組立拠点を置くドイツの製造業を対象に行った最新調査で明らかになった結果です。
現在、 84 社のドイツ企業が日本国内132 カ所に生産拠点または組立拠点を構えています。これは、日本で事業を展開するドイツ企業約730社のうち10%を超える割合にあたりますが、このことは日独経済関係においてしばしば過小評価されています。調査は69社を対象に実施され、34社(49%)が参加しました。主な産業には、化学・医薬品産業(29%)、機械・設備製造(23%)、医療用製品(21%)、自動車部品サプライヤー(12%)などが挙げられます。
「円安やアジアの主要顧客への近接性、安定した規制条件 ― これらすべての要素が日本を魅力的な生産拠点にしています」と、駐日ドイツ商工特別代表 兼 在日ドイツ商工会議所の専務理事マークゥス・シュールマンは述べています。
グローバルな不確実性が高まるなか、日本には魅力的な立地条件が備わっています。「日本を拠点にアジア市場へ製品を提供することは、ドイツメーカーにとって戦略的に魅力的な選択肢です」と、シュールマンは続けます。
輸出の中核としての日本
注目すべきは、多くのドイツ企業がすでに長い間日本に拠点を置いていることです。調査したドイツ企業の76%は、20年以上前から日本で生産を行っています。また、59%の企業は一カ所で製造を行っており、二カ所もしくはそれ以上の拠点で製造を行っていると回答した企業は41%でした。
日本における生産の主な理由は明確です:79%のドイツ企業が顧客との距離の近さを第一に挙げ、59%が日本の顧客からのニーズと回答しました。サプライチェーンの安定性、工業生産の厳しい品質基準を確実に満たす高度な技術を持つ人材の確保を理由として挙げた企業は、それぞれ38%でした。また、29%はリスク分散の観点も重要視しており、日本はグローバルな生産戦略における多様化の基盤として機能しています。
さらに興味深いのは、多くのドイツ企業が日本国内の生産拠点を日本市場向けだけでなく、輸出向けにも活用している点です。71%の企業が日本市場と海外市場向けの両方に製品を供給しています。主な輸出先はASEAN諸国(41%)、中国(38%)、北米(29%)です。
回答企業によると、日本は高い産業効率と比較的低い単位労働コストにより高く評価されています。95%の企業は、日本の単位労働コストがドイツの水準を下回っていると回答し、そのうち47%は30%ほど低いと指摘しています。
将来の計画については、57% のドイツ企業が今後数年間で日本での生産能力を拡大することを計画しています。さらに35% は、ドイツ本社が生産と多角化の拠点として日本への関心を高めていると回答しました。
同時に、専門技術者の不足は依然として大きな課題です。82%のドイツ企業が能力のある人材の獲得と維持を最大の課題として挙げています。特に需要が高い職種は、機械・プラントオペレーター、熟練技能者、技術系専門職です。また、50% は製造部門の管理職に英語の語学力を求めています。
今回の調査結果により、日本が、アジアで長期的な計画を立て、リスクを分散し、顧客に近い場所で事業を展開したいと考えているドイツ企業にとって、安定性、魅力、将来性を兼ね備えた生産拠点であり続けていることが明確に示されました。
【調査について】
AHK Japan は、2025年5月末から6月頭にかけて日本国内に生産・組立拠点を持つドイツ企業69社(合計84社)を対象に初めて企業調査を実施しました。回答率は49%(34社)でした。この調査は、日本がドイツ企業にとって非常に魅力的な生産拠点であり続けていることを示しています。最も重要な要素として、国際競争力のあるコスト構造、地域の中核としての役割、十分な能力を有する人材、安定と信頼を確保する長期的なビジネス関係が挙げられました。
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