プレスリリース

在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス2024」結果報告

2024/03/27

在日ドイツ商工会議所 (略称:AHK Japan) は、在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス2024」を2024年1月下旬から2月中旬までKPMGドイツとともに実施しました。


ドイツ企業、生産・管理機能を中国から日本へ移転する動きが加速

ドイツ企業の38%が生産拠点を、23%が管理機能を中国から日本へ移転

  • 立地としての優位性:在日ドイツ企業の94%が日本の経済的安定性を評価
  • 92%の企業が2023年に日本市場で利益を上げ、21%が年間平均税引前利益率10%以上を達成 
  • 日本拠点の主な理由:販売の潜在力 (81%)、トレンド調査 (62%)、競合調査 (57%)
  • 企業にとって最大の経営課題:優秀な人材の採用(82%)、為替リスク(76%)
  • Top 5:54%のドイツ本社で、日本は売上・利益に大きく貢献(2021年比9ポイント増)
  • 39%の企業は、ドイツ国内におけるデモの頻度増加や暴力行為が日本でのドイツの評判に影響を与えていると回答

調査概要

調査名称:在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス2024」
調査期間:2024年1月30日~2月13日
調査方法:オンラインによるアンケート形式
調査内容:2016年より毎年、在日ドイツ系企業の事業実態や見通しを把握するために実施
対象企業数:在日ドイツ系企業472社
有効回答数:164社(35%)

調査結果

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2024327日|東京/ベルリン 地政学的な不確実性と推し進められる多様化を背景に、新たなトレンドが生まれつつあります。例えば、調査に参加した在日ドイツ企業の38%が、中国から日本への生産移転を計画している、もしくはアジアにおける新規投資先として日本を選択しています。また、4社に1社弱(23%)が管理機能を日本に移転しています。

さらに、アジアの中心地としての重要性も増しています。現在、ドイツ企業の4社に1社以上(26%)が日本にアジア太平洋地域統括本部を置いています。前年は5社に1社(20%)でした。この結果、日本はシンガポール(28%)に次いで2位でした 。

「日本は、ドイツ企業に公平な競争環境、信頼できる安定した法的枠組み、そして互換性のある価値観を提供するという点で、アジアではほぼ唯一無二の存在です」と、KPMGドイツのインターナショナルビジネス部門のマネージングパートナーであるアンドレアス・グルンツは述べています。

このことは、在日ドイツ商工会議所(AHK Japan)とKPMGドイツが共同で実施した最新の在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス2024の中で示されています。今年は、在日ドイツ系企業164社が調査に参加し、回答率は35%でした。

日本市場の最大の利点は、経済的、政治的、そして社会的安定性

とりわけ地政学的な混乱と相次ぐ経済危機の時代において、日本は安全な市場であることが証明されています。国際的な市場比較においても、日本は信頼性という点で再び最高点を獲得しています。調査した在日ドイツ企業は、日本の経済的安定性(94%)、ビジネス関係の安定性と信頼性(93%)、安全性と社会的安定性(91%)を事業拠点としての日本の最大の利点と認めています。

「日本はアジアで最も古い工業国です。日本市場は、適度なコスト構造、誠実な人材、手厚い政府支援プログラム、そして高度に発達した研究開発環境を提供しています。安定した環境は、生産拠点としても魅力的です」と、駐日ドイツ商工特別代表 在日ドイツ商工会議所の専務理事であるマークゥス・シュールマンは述べています。

日本は、ドイツ企業の本社にとってTop5市場のひとつであることが多い

54%の企業にとって、日本は本社グループ全体の売上と利益において上位5か国のひとつです。これは前年比で6ポイント、2021年比で9ポイントの上昇に相当します。

そこには具体的な根拠があります:昨年、在日ドイツ企業の92%が日本で利益を上げました。さらに 5社に1社(21%)が10%以上の税引き前利益率を達成しました。将来への予測も楽観的です。66%の企業が2024年の売上増を見込んでおり、78%の企業は2025年も増加すると予想しています。

「東日本大震災以来、日本は大きく変わり、グローバル化しました。日本では高収入を得られるだけでなく、国内市場および世界市場でも競争力のある生産が可能です: 日本に進出している700社以上のドイツ企業のうち80社以上が日本国内130以上の拠点で生産を行っています」と、マークゥス・シュールマンは述べています。

単なる販売市場ではない:トレンド・競合他社のリサーチは戦略的にますます重要に

ドイツ企業の81%にとって、1億2,400万人以上の消費者を抱える日本市場の販売拠点としての高い潜在力は、日本に拠点を置く最も重要な理由です。62%の企業が、技術とイノベーションにおける新しいトレンドの調査を2番目に重要な理由として挙げています(前年比5ポイント増) 。

また、57%の企業が日本の競合他社をリサーチしており、47%の企業が日本企業のグローバルなビジネス・ネットワークに参加しています。 

「経済大国第3位と第4位であるドイツと日本の企業は、時に競合として、また時にパートナーとして、世界中で顔を合わせています。ますます多くのドイツ企業が日本市場で日本の競合をリサーチするということは、戦略的に巧妙な一手です」とアンドレアス・グルンツは述べています。

日本ではドイツの評判が落ちている 

今回の調査に新たに加わったのが、日本から見たビジネス拠点としてのドイツの評判です。調査によると、39%の企業が、ドイツにおけるデモや抗議行動の頻度の増加や暴力傾向により、日本におけるドイツのイメージが悪くなっていると回答しました。27%の企業は、ドイツの気候活動家や老朽化したインフラも、日本におけるドイツの評判を下げていると答えています。

「日本からのドイツに対する批判的な見方が強まっていることは、KPMGドイツが2024年3月に発表したビジネス・デスティネーション・ドイツ2024調査の見解とも一致しています」とアンドレアス・グルンツは述べています。「調査した在独日本企業のほぼ3分の2(63%)は、デジタル・インフラに関してドイツをEUで最も脆弱な5か国のひとつであるとし、40%の企業は行政のデジタル化に関してもドイツをEUで最下位であると回答しました」

増加する課題 

82%の企業にとって適切な資格を持つ熟練した人材の確保が依然として最大の課題です。
「熟練労働者不足に対応するため、在日ドイツ商工会議所は2024年4月より、ドイツのプログラムに基づいた専門職業訓練を日本で導入し、第一段階としてカーメカトロニクス業界に重点を置く予定です」と、マークゥス・シュールマンは述べています 。

過去4年間の円安と日本の高い国債により、76%の企業が為替リスクを2番目に大きな課題として挙げました(2022年比13ポイント増)。原材料やエネルギー価格の高騰、インフレ、サプライチェーンにおける問題は依然として課題として挙げられているものの、それぞれ11ポイント、18ポイント、さらには29ポイントと、前年に比べ大幅に改善しています。

インフレの影響も小さくなってきています。インフレを課題と回答してる企業は、2社に1社弱(49%、前年:67%)でした。対照的に、日本では最近上昇している人件費の負担が顕著に増加しました(44%、前年比7ポイント増)。
 


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