- 在日ドイツ商工会議所が、短・長期の人材不足を抱える企業を支援
- 「ドイツ専門職業訓練」を日本で初導入し、自動車整備士の養成をスタート
- 3年に及ぶ体系的な研修で得た技能と知識を研修後に現場で生かせる人材育成を目指す
- パートナー:ビー・エム・ダブリュー株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社、NPO法人メカニックカレッジ、阪神自動車航空鉄道専門学校
2024年4月4日/東京 ― 在日ドイツ商工会議所(所在地:東京都千代田区、代表:マークゥス・シュールマン)は、「ドイツ専門職業訓練 自動車整備士養成プログラム」を2024年4月からスタートします。「ドイツ専門職業訓練(デュアルシステム/Dual Vocational Training System)」の導入は、日本では初めてとなります。ドイツの教育基準に基づいた研修と教育により、企業の人材育成を支援することを目的としています。このプログラムを修了することで、さらなるステップアップを目指す人たちにとって、真の「マイスター(ドイツ語:Meister)」になるためのベースとなることでしょう。
2024年3月に在日ドイツ商工会議所が発表した在日ドイツ企業景況調査*では、82%の在日ドイツ企業が有能な人材の採用に課題を抱えていると回答しました。例えば、自動車業界も特に人材不足の影響を受けている業界のひとつです。中長期にわたる深刻な整備士不足を背景に、在日ドイツ商工会議所は、日本における次世代の自動車整備士の雇用・教育のためのさらなるプラットフォーム構築が急務であると考えました。「在日ドイツ商工会議所は、市場環境や産業界のニーズを考慮しながら、今後は他の職種にもドイツ専門職業訓練を広げていきたいと考えています。そのためにも、日本の教育機関との連携を非常に重要視しています」と駐日ドイツ商工特別代表兼在日ドイツ商工会議所の専務理事であるマークゥス・シュールマンは述べています。
日本における「ドイツ専門職業訓練」の導入については2018年から検討を開始し、2020年から、パートナー企業のビー・エム・ダブリュー株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社と共に実用的な導入に向けた準備が進められました。「実践」と「講義」で適用されるカリキュラムは、ドイツのカリキュラムを日本の状況に照らし合わせ、パートナー企業、教育パートナーと検討を重ねて構成したオリジナルプログラムです。「4年間の準備期間を経て、このプログラムの開始を迎えることができ、非常に喜ばしく思います。人材育成の支援を通じて、優秀な人材の確保という日独両国共通の課題において二国間関係の発展に持続的に貢献したいと考えています。」と副専務理事のDr. ルーカス ヴィトスアスキーは述べています。カーメカトロニクス専門職業訓練 プログラムコーディネーターの菊地 隆一は、「このプログラムは、社会に出る若年層や自動車整備士を目指す人々に新たなパスウェイを提供することができます。技術職の魅力向上にも貢献したいと考えています」と付け加えました。
「ドイツ専門職業訓練」は、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)と学校での教育を組み合わせた独自のプログラムです。3年から3年半の訓練期間を通して、企業で働きながら最新の技術や技能を習得する「実践」と専門知識や一般教養を学ぶ「講義」を並行して受け、試験を経て認定を受けます。専門職業訓練の制度では基本として、研修生は研修先企業と契約を締結し、一年の70%以上の時間をディーラーでのオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)に充て、残りの時間で学校に通います。研修中は給与や学費などの資金援助があるため、研修に集中することができます。プログラムを修了するとドイツ政府の法規に基づき自動車整備士の証明書が付与され、研修先企業にフルタイム社員として就職することが可能になります。最新技術の実践経験と論理的知識を掛け合わせることで専門職を育成するプログラムは、「ドイツ専門職業訓練」ならではのものです。
*在日ドイツ企業景況調査「日本におけるドイツビジネス2024」(2024年3月27日発表)
「ドイツ専門職業訓練 (デュアルシステム/Dual Vocational Training System)」とは
ドイツ商工会議所本部(所在地:ベルリン)、ドイツ国内の商工会議所、そして各国の在外ドイツ商工会議所は、世界各地で専門職業訓練を実施・運営しています。グローバルコンセプトへの順応と各地域の需要に応えることで、専門職業訓練は外国貿易の促進に貢献します。在外ドイツ商工会議所は93か国に150拠点のグローバルネットワークを持ち、その活動はドイツ連邦議会の決議に基づき、ドイツ連邦経済・気候保護省により助成されています。
1969年に設立された専門職業訓練は、次世代のプロフェッショナルを養成する礎となり、ドイツ国内外での大企業や中小企業の成功に貢献してきました。現在では327の職種に広がり、ドイツ人労働人口の約5%が現役の訓練生であり、その平均年齢は約20歳です。現在52の在外ドイツ商工会議所が「ドイツ専門職業訓練」を提供しています。27,568名がプログラムを修了し、各分野で活躍しています(2024年3月末時点)。
パートナー企業によるコメント
ビー・エム・ダブリュー株式会社 長谷川 正敏 代表取締役社長
「日本のモビリティ業界が抱える課題に関して、ディスカッションを重ねてきた結果、このようなプロジェクトを開始することができ非常に光栄です。このプロジェクトが課題解決の一助となることを期待します。弊社はこの取り組みを通じて、日本の未来のモビリティ社会づくりに貢献していければと考えています」
三菱ふそうトラック・バス株式会社 松永 和夫 代表取締役会長
「自動車産業の未来を担う若手社員がこうした充実した学びの機会を得られることは、大変貴重な経験となると思います。人手不足やいわゆる『2024年問題』など、物流を取り巻く環境が厳しさを増す中で、高レベルなメカニックを育成するこのプログラムへの参加は、三菱ふそうが今以上にお客様から頼られる存在となるチャンスでもあります」
「ドイツ専門職業訓練自動車整備士養成プログラム」概要
運営
在日ドイツ商工会議所
支援
ドイツ連邦経済・気候保護省
パートナー企業
ビー・エム・ダブリュー株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社
教育パートナー
NPO法人メカニックカレッジ、阪神自動車航空鉄道専門学校
参加資格
高等学校卒業程度認定試験合格者
研修期間
3年/2024年4月開始
研修内容
ドイツの自動車整備士養成カリキュラムでは、習得すべき項目が細かく規定されています。共通の基礎技能・知識を習得したのち、乗用車技術、商用車技術、自動二輪技術、高電圧技術、車体技術といった専門分野に分かれて研修を実施し、他の専門分野の内容を取り入れながら最新技術の習得を図っていきます。これに基づき、日本での整備士育成訓練と比較しながら、専門学校、パートナー企業と協議を重ねプログラムを構成しました。日本での整備士育成訓練でカバーされる内容に加えて、ADAS(先進運転支援システム)など最新のモビリティテクノロジーの内容が含まれています。
* 講義は日本語で実施。研修先企業は規定に基づき、国際スタンダードの「Train the Trainer (AdA – Ausbildung der Ausbilder International)」を事前に受講して認定済
お問い合わせ先
在日ドイツ商工会議所
広報部 蒔田、種蔵
+81(0)3 5276 8741 / +81(0)3 5276 8121
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